小学校高学年くらいの時に家に初めてパソコンが来て、それから中学、高校、大学、社会人と約20年くらいパソコンを使ってきたんだけど、その全てがWindowsだった。
大学1年の時に当時はまだ珍しかったSSDを積んだMacBook AirをOSの起動が爆速ということで1回だけ買ったことはあったんだけど、Windowsとの操作性の違いから一瞬で売却してしまった。
もっとも世界はWindowsでできているんだから、Windowsに慣れていたり使いこなせていたりする方が大事だとは思うんだけど、2020年6月、パソコン業界を震撼させる出来事があった。
そう、皆さんもご存知の通り、Appleが2020年のWWDCにおいて、CPUの自社開発を行うと発表したんだ(M1チップ)。
このM1チップについてはネットで検索したり、ガジェット系のYouTubeを見たりしてもらえればその凄さは一目瞭然なのでここではあまり触れないんだけど、とにかく低価格、低発熱、低消費電力、それでいてハイスペックとこれまでのパソコン(CPU)の常識を覆してしまったんだ。
ガジェット好き、Apple好きの自分としては、このビッグウェーブに乗らない手はあるだろうか?いやない!ということで、2021年3月にM1チップを搭載したMacBook Airを購入した。
たださっきも触れた通り、これまで使ってきたパソコンは全てWindowsであり、過去に1回だけ購入したMacBook Airも一瞬で売却してしまった経緯があるから、今回またMacBook Airを購入することには若干の躊躇いはあった。
そしてキーボードの配列やショートカットキーの違いなど、購入する際に懸念していたことは再び現実のものとなった。
しかし前評判でも言われている通り、M1チップを搭載したMacは、この価格にしてこのスペックはやはり凄いということで、Windowsとの違いがどれほどMacに乗り換える障壁となっているかを一つ一つ分析し、本当にMacに乗り換えられないほどの障壁かどうか検証していきたいと思う。
もし今、WindowsからMacに乗り換えようか検討している方の参考にしていただければと思う。
なお、本記事については結構な文量になっているので、目次の気になったところを中心に辞書的な感じで見ていってもらえればと思う。
キーボードのキー配置の違い
まず1つ目はWindowsとMacではキーボードのキー配置の違いがある。
QWERTYの部分に違いはないんだけど、自分を含めWindowsに慣れている人が違いを感じるであろう3点を解説する。
キー配置については物理的な違いとなるので、解決法は慣れるしかない。
半角/英数キーの位置
これは日本語とアルファベットを併用する日本人(JIS版キーボード)特有かもしれないんだけど、 半角/英数キーの位置がWindowsとMacのキーボードでは違うんだ。
具体的にはWindowsのキーボードでは左上にあるんだけど、Macは一番下の列にある。
Windowsに慣れている人がまず最初に使い辛さを感じる部分だろう。


Deleteキーがない
これは本当に疑問なんだけど、MacのキーボードにはBack Spaceキーはあるんだけど、Deleteキーがない。
つまりカーソルがある左側の文字は消せても、右側にある文字を(1ボタンで)消すことができないんだ(一応、fnキーを押しながらBack Spaceキーを押せばDeleteキーと同じ機能は使えるんだけど、なんか微妙…)。
若干話が逸れるんだけど、iPhoneのキーボードもあまりいけてなくて、Androidでは普通に搭載している1文字戻る、進むボタンがなく、カーソルを移動したい時はSpaceキーを長押しして移動するしかない(なんという斬新設計…)。
Appleのキーボードには改善の余地はたくさんある。

Windowsのキーボード

Cntlキーが左下にない
これは次の章のショートカットキーの違いにも関係してくるんだけど、Cntlキー(Macでいうcommandキー)が左下にない。
一番よく使うであろうコピー&ペーストをする場合、Windowsであれば、「Cntl + C」
、「Cntl + V」とするところを、Macの場合、「command + C」、「command + V」としなければならないから、若干左手が窮屈になる。
ちなみにWindowsでもNECやLenovoの一部製品は左下がFnキーになっているので、絶対に買わないと心に誓っている。いい製品はたくさんあるのにそんなことで顧客を失うなんてもったいないよね。


操作性の違い
次に操作性の違いについて解説していきたい。WindowsとMacではOSが違うから操作性の違いなんて腐るほどあると思うんだけど、自分を含め多くのWindowsユーザーがMacに乗り換えた時に戸惑うであろう最大公約数的な項目に絞って6点解説する。
こちらについては解決策があるので、合わせて解説したい。
マウスのスクロールが逆
Macってトラックパッドが優秀だから、あまりマウスを使うことを想定していない設計なのかもしれないんだけど、Macでもマウスを使いたい時はあるし、もちろんWindowsからの乗り換え組はマウスは必須アイテムだろう。
Macにマウスを接続してそのまま使ってしまうと、スクロールの向きが逆になっているので、使い辛さを感じる方も多いだろう。
これについては、
システム環境設定
↓
トラックパッド
↓
スクロールとズーム
↓
スクロールの方向:ナチュラルのチェックを外す
をしてもらえれば解決する。



しかしこれをしてしまうとマウスのスクロールはWindows仕様になるんだけど、今度はトラックパッドのスクロールが逆になってしまう。
マウスしか使わない人はこれでいいかもしれないんだけど、マウスとトラックパッドを併用する人は困ってしまう。
そこでロジクールのマウスを購入して、Logicool Optionsをインストール(ダウンロードはこちら)してもらうことで、トラックパッドのスクロール方向はそのままにマウスのスクロール方向だけを変更することができる。
手順は次の通り。もしMacでマウスもトラックパッドも使いたいという方は、ロジクールのマウスを購入するといいだろう。
Logicool Optionsをインストール (ダウンロードはこちら)
↓
システム環境設定
↓
セキュリティとプライバシー
↓
プライバシータブでアクセシビリティを選択し、「変更するにはカギをクリックします。」をクリック
↓
Touch IDかパスワードでロックを解除し、Logi Options DaemonとLogi Optionsにチェックを入れる
↓
Logicool Optionsのポイント&スクロールをクリック
↓
スクロール方向を標準に変更する









ちなみに自分はマウスはロジクールのM546を使っているんだけど、左側面にある戻る進むボタンもデフォルトのままだと使えない。
この機能を有効にするのにも、Logi Optionsを使用して設定する必要がある。
Logicool Optionsのマウスのメニューで左側面のボタンを選択
↓
手前のボタンには戻る、奥のボタンには進むを設定する



変換後の確定にEnterを2回押す
これも本当に不思議で仕方ないんだけど、Macはデフォルトのままだと文字を変換して確定するのにEnterを2回押さなければならない。
直し方を解説しよう。
システム環境設定
↓
キーボード
↓
入力ソースタブで「日本語ーローマ字入力」を選択し、Windows風のキー操作にチェックを入れる



文字の再変換
Windowsだと文字を変換間違いした時には、その文字を選択して変換キーを押せば再変換できるんだけど、Macの場合は再変換したい文字を選択して「かな」キーを2回押すことで再変換できる。


ファンクションキーに機能が割り当てられている
Macのキーボードにはファンクションキーの上にいろいろと図形が描かれている(F1だったら明るさのマークなど)。
これはファンクションキーに機能が割り当てられているためで、デフォルトのままだと図形の機能の方が作動してしまう。
Excelでセルに文字を入力したい時やカタカナに変換したい時などファンクションキーをファンクションキーとして使いたい時はあるので、これも直したい。手順は次の通り。
システム環境設定
↓
キーボード
↓
キーボードタブの「F1、F2などのキーを標準のファンクションキーとして使用」にチェックを入れる



なおファンクションキーに割り当てられている機能を使いたい場合には、fnキーを押しながら各ファンクションキーを押せば使用可能。
フォルダの階層表示がされていない
WindowsでいうところのエクスプローラーにあたるのがMacのFinderになるんだけど、デフォルトだとWindowsのエクスプローラーのようにフォルダの階層表示がされていない。
どう考えても使い辛いので、Finderで階層を表示させる方法を解説する。
Finderをクリックし、最近の項目のフォルダを開く
↓
メニューの「表示」をクリックし、「パスバーの表示」をクリック



一点注意なんだけど、上でも解説した通り、最近の項目のフォルダを開いた状態で上記設定を行わないと、全てのフォルダに階層表示の設定が適用されないので、最近の項目のフォルダを開いた状態で設定したい(謎仕様多すぎ)。
Enterがファイルやフォルダを開くじゃない
これもWindowsユーザーからすると謎仕様としか言いようがないんだけど、MacではEnterキーを押してもファイルやフォルダを開いてくれない(名称変更(WindowsでいうところのF2)が作動する)。
ファイルやフォルダを開く場合には「command + ↓(もしくはO)」を押す必要がある。
ちなみにFinderで一つ上の階層に戻る場合は「command + ↑」、ファイルやフォルダを削除する場合は「command + Back Space」を押す必要がある(なんで1キーで完結しないんだ…)。



ショートカットキーの違い
WindowsとMacではキーボードのキー配置が違うから、もちろんショートカットキーも違ってくる。
ショートカットキーについては使わない人もいるだろうし、使う人の中でも使うものは千差万別だから何とも言えないけど、こちらについても多くの人が使うであろうショートカットキーについて7点解説する。
デスクトップを表示する
いろいろソフトを立ち上げ過ぎてしまって、デスクトップを一瞬で表示したいという時などに使用するショートカットキー。Windowsでは「Windows + D」だけど、Macでは「F11」(F1、F2などのキーを標準のファンクションキーとして使用していない人は「fn + F11」)でデスクトップを表示することができる。

画面の左右2分割
Windowsでは「Windows + →(または←)」で画面を2分割することができるんだけど、なんとMacには画面を2分割するショートカットキーがない!(信じられない!)
一応、サードパーティ製のアプリをインストールすればできるみたいなんだけど、別にそこまでして使いたい機能でもないので、ここでは標準的に備わっているマウスを使った方法を解説する。
各ウィンドウの左上の緑のボタンにカーソルをあわせる
↓
メニューが表示されたら、「ウィンドウを画面左側(右側)にタイル表示」をクリック



ちなみに通常表示に戻したい時は、2分割したそれぞれのウィンドウで左上の緑のボタンにカーソルを合わせて「フルスクリーンを解除」をクリックすることで戻すことができる(非常に面倒くさい…)。
なお、上記にやり方で左右2分割ができない場合は、下記を確認してほしい。
Split View が機能しない場合は、Apple メニュー >「システム環境設定」の順に選択し、「Mission Control」をクリックして、「ディスプレイごとに個別の操作スペース」が選択されているか確認してください。(Apple公式サイトより引用)
Finderを開く
Windowsでエクスプローラーを開きたい時に使用する「Windows + E」。同じようなショートカットキーがMacにも備わっていて、それが「Control + F3 + Enter」。
一応、「command + N」でもできるんだけど、SafariとかChromeとかを開いている状態で使ってしまうと、別のウィンドウが開くなどそのアプリでのショートカットが機能してしまい、汎用的ではないので、「Control + F3 + Enter」を推奨したい。

切り取り
本当にMacのショートカットキーにはWindowsユーザーからすると信じられないものが多いんだけど、ファイルやフォルダの切り取りも違うんだ。
Windowsでは「Cntl + X」、「Cntl + V」でできるところを、Macでは「command + C」で一回コピーして、貼り付ける時に「command + option + V」で貼り付けることで切り取ったことになる(普通に「command + X」でいいじゃないか…)。
ちなみに文字の切り取りについては「command + X」、「command + V」で切り取り、貼り付けが可能。

ウィンドウの最大化
ウィンドウを最大化したいとき、Windowsでは「Windows + ↑」で最大化できるんだけど、Macでは「command + control + F」となる。
ちなみに元に戻す時も同じ「command + control + F」で戻せる。

スクリーンショット
スクリーンショットについてもMacのキーボードには専用のキーがなかったり、アクティブウィンドウのスクリーンショットについても違いがあるので解説したい。
全体スクリーンショット
Windowsだと「PrtSc」で一発なんだけど、Macの場合は「command + Shift + 3」となる。

アクティブウィンドウのスクリーンショット
アクティブウィンドウのスクリーンショットについては、Windowsでは「(Fn + )Alt + PrtSc」でできるんだけど、Macの場合は「command + Shift + 4」の後にSpace、Enterでスクリーンショットを撮ることができる。

指定範囲のスクリーンショット
Windowsでは「Windows + Shift + S」で指定範囲のスクリーンショットを撮ることができるんだけど、これに該当するMacのショートカットキーはさっきの「command + Shift + 4」の後にマウスで範囲指定をすることで撮ることができる。

ブラウザ、Finderなどの更新(リロード)
ブラウザ、Finderなどの更新(リロード)をする場合、Windowsでは「F5」を押すだけなんだけど、Macでは「command + R」となっている。

価格
以上、WindowsユーザーがMacに乗り換える際に障壁となるポイントを解説してきたんだけど、もう1点まだ触れていない重要なポイントがある。そう、価格だ。
Officeソフトを使った資料作成やウェブブラウジングなど簡単な作業しかしない人であれば、Core i5のメモリ8GBで5~10万円のWindowsを選べばいいし、むしろMacは高いと思う。
ただ今回は動画編集を快適に行いたいという観点からWindowsとMacの比較を行ってきたので、最後に動画編集を快適に行えるWindowsとMacを比較していきたい。
【Windows】
メモリ:16GB以上
CPU:インテル Core i7以上
GPU:GTX 1660、もしくはRTX 2070
ストレージ:SSD 512GB以上
この条件を満たそうとすると、最低14万くらい、高いと27万くらい必要になってくる。
またこのスペックになってくると、ほとんどがタワー型と呼ばれるケースになるため、置き場所を考える必要も出てくるし、電源についても500W以上を要求される。
対してMacはどうだろうか。
【Mac】(M1 Mac miniを想定)
メモリ:16GB(8GBでもフルHDの動画編集は可)
CPU:M1チップ
GPU:M1チップ
ストレージ:SSD 512GB以上
このスペックであれば、12.4万円で購入できてしまう(メモリ8GBであれば、10.2万円)。
このパソコン自体の価格差1.6万円以上(メモリ8GBであれば3.8万円以上)に加え、Windowsであればケースサイズが巨大になるため広いデスクが必要になったり、500W以上の電源が必要なため電気代も高くなったりと、目に見える金額以外のコストも含めた価格差でこれまで解説してきた障壁を買えるか、つまり
キー配置やショートカットキーの違いに慣れたり覚えたりする時間×自分の時給
が下回るかによって、どちらを選ぶべきか(自分にとってコスパがよいか)がはっきりする。
結論としては、この価格差であれば、Macに乗り換える障壁は買える(Macに乗り換えることは可能な)のではないかと思う。
仮に自分の時給を2,000円だとすると、これまでの内容を調べるのに10時間くらいはかかったけど、今の家にこれ以上大きなデスクを置くことはできないし、電気代の心配も発生するので、トータルのコストはMacに乗り換える方が小さくなる。
ということで、この秋に出ると言われているM1Xチップを搭載したMac miniを購入したいと思う。
★本日のまとめ★
ということで今回は、Windows歴20年の自分がMacに乗り換えることができるかについて、Macに乗り換えた際に障壁となる点、同じくらいのスペックとしたときのWindowsとMacの価格差という点から検証してきた。
一つ一つ分析していくことで、感情論にならず、冷静に結論を出せたと思う。
特に最後の章の投じるお金とそれによって浮かせる時間(によってどれだけのお金を生み出せるか)という考え方は、他のいろいろなシーンで役立つ考え方だと思う。
皆さんもWindowsからMacに乗り換える際やいろいろなものを購入する際の参考にしてもらえればと思う。