ケーブル1本で急速充電や高速データ転送、ディスプレイ出力など幅広い用途で使えるUSB-C。
AndroidスマホはそのほとんどがUSB-C端子を搭載し、最近ではノートパソコンでもUSB-C端子を搭載しているモデルが増えてきた。
でも一口にUSB-Cといっても、実はケーブルによってできることとできないことがあるんだ。
ということで今回は、事例別にどのようなUSB-Cケーブルが必要か実例を交えて解説していく。
【本記事のポイント】
・USB-Cを使って急速充電したい時に必要なケーブルがわかる!
・USB-Cを使ってディスプレイ出力したい時に必要なケーブルがわかる!
・USB-CとThunderboltの関係がわかる!
急速充電したい場合

最近のスマホやタブレット、ノートパソコンなどUSB-Cを使って充電できるデバイスにはUSB PD(Power Delivery)という急速充電ができる規格を搭載しているものが多くなってきた。
急速充電をしたい場合、充電器が急速充電できる必要があるのはもちろんなんだけど、充電に使用するUSB-Cケーブルも急速充電に対応したものでなければならないんだ。
具体的には、
- 60W以下の場合:20V/3A
- 61W~100Wの場合:20V/5A
に対応しているUSB-Cケーブルが必要になる。
ご自身が持っているデバイスや充電器に合わせて必要なUSB-Cケーブルを選んでいただければと思う。
参考までに自分が持っているデバイスでは、MacBook AirやiPad Airが30W、Mi 11 Lite 5Gが33Wなので、上の60W以下のケーブルがあれば十分なんだけど、USB-Cケーブルは大は小を兼ねるので、61W以上の急速充電が可能なデバイス(MacBook Proなど)を今後使う可能性がある人は初めから100W対応のケーブルを購入してもいいかもしれない(60Wと100Wのケーブルで値段の差もほとんどないし)。
ちなみに急速充電だとどれくらい早く充電できるか試してみたんだけど、iPad Airで付属の18Wの充電器とAnkerの30Wの充電器で比べてみたところ、18Wだと約2時間半、30Wだと約2時間で充電が完了した。
またお金の話になってしまうんだけど、充電器が¥3,000で仮に自分の時給が¥1,000だとすると、1回あたり30分の時間短縮になるから、6回充電すると元が取れてしまう。
ケーブルの¥2,000を加味しても11回目以降は利益しか出ないから、購入しない理由が見つからない。
時間とお金は大切にしよう。
ディスプレイ出力したい場合

これもデバイス(ノートパソコンやタブレット)とディスプレイ、ケーブルがすべて対応している必要があるんだけど、USB 3.1(旧名称、新名称はUSB 3.2 Gen 1)という規格に対応し、Alternate Modeに対応していれば、USB-Cケーブル1本でディスプレイ出力と先ほど解説した急速充電の両方が可能になる。
これにより家ではUSB-Cケーブルをつなぐだけでノートパソコンを充電しながら画面を大画面に出力して作業することができ、外出する際はケーブルを抜くだけでフル充電のノートパソコンを持ち出して作業することが可能になる。
自分は下記のケーブルとディスプレイの組み合わせでMacBook Airの画面を出力し、Bluetoothマウスとキーボードを使うことで家ではデスクトップのような感覚で作業し、外に持ち出すときはUSB-Cケーブルを抜いて持ち出している。
ノートパソコンの画面をディスプレイに映して作業することで目線を上げて座る時の姿勢をよくすることができるので、肩こりや首こりを減らすことができる。
テレワークなどで家でもノートパソコンのまま仕事や作業をされている方はノートパソコンの画面をディスプレイに映して作業することを検討してみてほしい。
USB-CとThunderboltの関係
Thunderbolt 3になって端子がUSB-Cになったから、
ThunderboltとUSB-Cって何が違うの?
と疑問に思っている人も多いと思うんだけど、そもそもこの2つは別のものを指しているんだ。
USB-Cは端子の形状のことを指していて、Thunderboltは先ほど解説したAlternate Modeでできることの一種で超高速データ転送規格のことを指している。
例えるならUSB-Cは道路でThunderboltは超高速で走れるスポーツカーといったところだろうか。
ではそのThunderboltは何ができるかというと、主なものは次の3つとなる。
- 超高速データ転送(最大40Gbps)
- 急速充電(USB PD)
- ディスプレイ出力
ただし注意したいポイントが2点ほどある。
1点目はすべてのUSB-Cケーブル(3.1 Gen 2、 新名称 USB 3.2 Gen 2 )がThunderboltに対応しているわけではないということ。
つまり、
Thunderbolt 3 ⇒ USB 3.1 Gen 2(新名称 USB 3.2 Gen 2)
ではあるけど、
USB 3.1 Gen 2(新名称 USB 3.2 Gen 2) ⇒ Thunderbolt 3
ではないということなんだ(数学嫌いだった方、すみません)。
具体的には、データ転送の最高速度はUSB 3.1 Gen2 (新名称 USB 3.2 Gen 2 ) が10Gbps、Thunderbolt 3が40Gbpsだから、映像出力もUSB 3.1 Gen 2は4K×1が上限なのに対し、Thunderbolt 3では5K×1、または4K×2が可能となる。
2点目はThunderboltケーブルにはパッシブケーブル(0.5m以下、0.5m超)とアクティブケーブルがあるということ。
まとめると次の表のようになる。
転送速度 | Alternate Mode | |
パッシブケーブル(0.5m以下) | 40Gbps | 〇 |
パッシブケーブル(0.5m超) | 20Gbps | 〇 |
アクティブケーブル | 40Gbps | × |
パッシブケーブルは0.5mを境に転送速度が変わってしまうんだ。
またパッシブケーブルはケーブルの長さに関係なくAlternate Modeを搭載しているんだけど、0.5mを超えると転送速度が半減するので、 5K×1、または4K×2以上のモニターに映像を出力することができなくなってしまう。
一方、アクティブケーブルは転送速度は40Gbpsなんだけど、Alternate Modeを搭載していないので、PDやディスプレイ出力ができない。
つまり超高速データ転送専用のケーブルということになる。
ご自身の用途に合わせてケーブルを選んでもらえればと思う。
★本日のまとめ★
ということで今回は、USB-Cの解説と事例別の活用方法を解説してきた。
今回USB-Cの細かい仕組みまでは解説しておらず、この用途にはこのケーブルを使えばOKという事例集的な内容になってしまってはいるんだけど、USB-Cの概要を理解してもらったり、皆さんのケーブル選びの参考になったりしてくれたら嬉しい。
2021年10月現在、USB 4やThunderbolt 4という規格まで登場しているので、こちらについても新しい知見を得次第、この記事をリライトするなりして、皆さんに発信していければと思う。