ここ数年、moto(2019)『転職と副業のかけ算』扶桑社や山下良輔(2021)『転職が僕らを助けてくれる』ダイヤモンド社など転職することで年収を上げてきた人の本が注目を集めていますが、これらの本を読んだ人も読んでいない人も
「本当に転職することで年収は上がるの?」
とか
「転職すると基本年収は下がるんじゃないの? よくてトントンでは?」
と思う人が多いかもしれません。
実際に私も転職したことがなかったら、
「転職で年収を上げるなんて一部の優秀な人にしかできないだろう。自分には関係ない話だ」
と思っていたかもしれません。
しかし、結論先取り的に言ってしまえば、転職で年収を上げることは可能です。
実際に私は2回の転職を経て、年収を約100万円上げることができました。
ということで今回は、特別優秀でも何でもない普通のサラリーマンの私が、どのようにして転職することで年収を上げることができたのかについて解説していきたいと思います。
私の年収の推移
本題に入る前に、まずは私のこれまでの社会人生活8年半弱における年収の推移をお伝えしておこうと思います。
・1社目(6年3ヶ月在籍、システム運用)・・・約460万円(在籍最終年度の年収)
・2社目(2年3ヶ月在籍、ITコンサルタント)・・・約520万円(在籍最終年度の年収)
・3社目(2022年10月入社予定、SaaSカスタマーサクセス)・・・約560万円(オファー時提示の年収)
となっています。
正直、年収を上げたいと強く考えて転職したのは1社目から2社目に移る時ですが、2社目から3社目に移る時は、求人企業(の募集職種)に求められるスキルや経験に対してしっかりと自分の経験などを訴求した結果、(オファー段階では)2社目より年収を上げることができました。(この点については後半の章で詳しく解説します)
それでは次章以降でどのようなことを考え、どのような行動をとった結果、年収を上げることができたのか解説していきます。
年収を上げたいと思った
もしかしたらこのマインドが一番重要な要素だったかもしれませんが、1社目に勤めていた時に、明確に年収を上げたいと思う出来事がありました。
それは結婚です。
私は2019年の夏に結婚し、これから幸せで楽しい日々を送ることができると思っていました。
しかし、結婚して数ヶ月後の2019年秋、日々の生活にどこか物足りなさを感じました。
原因が何か考えましたが、日々の生活にゆとりがないからだということに気が付きました。
またちょうど同じ頃、1社目での仕事に行き詰まり感も感じていました。
いまひとつ自分がやっている仕事にお客さんへの貢献感を見い出せず、また大変な仕事の割に給料もそれほど高くなく、このままこの仕事を続けていいのかと漠然と思っていました。
そんな時、先に転職を経験していた大学時代の友人から1冊の本を薦められました。
それが冒頭でもお伝えしたmoto(2019)『転職と副業のかけ算』扶桑社です。
この本の内容や趣旨については別の記事に譲るとして、年収を上げたい、このままこの仕事を続けていいのかと思っていた当時の私は、食い入るように読み込みました。
そして、motoさんのような人生を歩みたい、転職して年収を上げたいと思い、1社目からの転職を決意しました。
転職エージェントに年収を上げたいと伝えた
転職を決意した私は、早速転職エージェントに登録しました。
エージェントとの面談の中で、今回(1社目から2社目)の転職の軸のひとつとして、年収アップを挙げました。
そして、初回の面談やその後の数回のやりとりを経て、1社目(システム運用)より年収レンジの高いITコンサルタントという職種を紹介してもらいました。
ITコンサルタントという職種は、今(1社目)より年収を上げられるだけでなく、仕事内容も(当時の)自分がやりたいと思っていたことに近いと思い、ITコンサルタントの求人に片っ端から応募しました。
そして、その中の1社から内定をもらい、年収はオファー時の段階で1社目より約20万円アップ、在籍した2年3ヶ月の間にもう約40万円ほどアップしました。
【コラム】年収アップの転職には転職エージェントを使う方がよい
転職する方法として、直接応募、転職サイトの利用、転職エージェントの利用、リファラル、ヘッドハンティングなど方法がいくつかありますが、私のような普通のサラリーマンが転職で年収を上げるには、転職エージェントを使うのがよいと思います。
これは転職エージェントのビジネスモデルに関係するもので、詳しくは別記事を参照していただきたいのですが、転職エージェントは求職者を求人企業に入社させることで収益を得るビジネスモデル(成果報酬型)となっています。
転職エージェントは求職者が希望する条件に合った求人を紹介してくれますが、それは同時に求職者が入れそうな求人という条件も含まれています。
図解するまでもないですが、転職エージェントが紹介する求人は下図のようになります。

つまり、1社目から2社目に転職した際の私がまさにそうですが、転職エージェントは年収を上げたいという求職者が希望する求人と求職者が入れそうな求人のマッチする求人を紹介してくれます。
したがって、年収を上げたいという一見難しそうな条件でも、転職エージェントは現実的に求職者が入れそうな求人を紹介してくれるため、転職で年収を上げることが可能となるのです。
【コラム】年収は業界、職種によって異なる
これも転職で年収を上げる上で重要なポイントなので、ここで簡単に解説しておきます。
もちろん会社によって異なるため一概に言えない部分はありますが、年収は業界、職種によって大きく異なってきます。
参考までに業界別、職種別の平均年収のデータをご紹介しておきます。


転職エージェントに年収を上げたいと伝えることと合わせて、どのような業界や職種が年収レンジが高いのか、今の自分の年収は他の業界、職種と比べてどれくらいなのかということをインプットして、転職エージェントとコミュニケーションをとったり、今後のキャリアを考えたりするとよいと思います。
おすすめの転職エージェントのご紹介
ここで私がこれまで2回の転職をする上で、2回ともお世話になった転職エージェントをご紹介します。
それはパーソルキャリア株式会社が運営するdodaです。
1社目から2社目に転職する際は、それまで考えていなかったITコンサルタントという職種を紹介してくれ、2社目から3社目に転職する際は1年以上に及ぶ転職活動をご支援していただきました。
また職務経歴書の書き方や面接対策、業界別セミナーなど無料で受けられるセミナーも多数あり、特に業界別セミナーは企業、業界研究を行う際に役立ちました。
さらに、他の転職エージェント(リクルートエージェント、パソナ、マイナビエージェント)も利用しましたが、dodaは圧倒的にマイページが見やすいです。
加えて、リクルートと並ぶ大手であり、求人数も約10万件ととても多いので、幅広い求人の中から自分に合った求人をエージェントとともに探すことができます。
特に初めてや2回目の転職、20代や30代前半の方にはおすすめのエージェントとなっています。ぜひ転職活動する際はご活用ください。

年収の高い求人が求めている経験に合わせて書類作成、面接での受け答えをする
ここまで、私が転職して年収を上げるためにとってきた行動について解説してきましたが、最後に転職して年収を上げる上で最も重要なことがあります。
そう、今より年収の高い会社に入れなければ、転職して年収を上げることはできません。
ということで、この章では年収の高い会社に入るための書類作成、面接での受け答えについて解説していきます。
先にざっくりした方法、考え方を解説しておくと、基本的な考え方としては、
・求人企業が求めているスキルや経験に対して、これまでの自分の経験、持っているスキルを基にその会社で何ができるのかを伝える
・求人企業の応募職種で必要とされそうなスキルや経験について、これまでの自分の経験、持っているスキルを基にその会社で何ができるのかを伝える
ということが重要となります。
具体例があった方がわかりやすいと思うので、3社目に内定しているSaaSカスタマーサクセスの求人を例に考えていきたいと思います。
この会社の求人票には、
業務内容(一部抜粋)
・オンボーディング
・運用サポート
求める人物像(一部抜粋)
・効率を大切に、無駄を省きながら時間を使える方
とありました。
また自分でもSaaS業界、カスタマーサクセスについてセミナーを受けたり、本を読んだりして、
・導入支援
・改善提案
などを行うのだろうなと応募職種の業務内容に対するイメージを沸かせました。
これらを受けて、職務経歴書には、
・ITコンサルタントとして、お客様にシステムを導入するプロジェクトに参画した経験
・1社目でお客様に業務効率化の改善提案を行った経験
などを記載し、面接ではこの内容を具体的に伝えるようにしました。
その結果、5社応募していたうちの1社から内定をいただき、年収も約40万円ほどアップすることができました。
★本日のまとめ★
ということで今回は、転職して年収を上げる方法について、私の実体験を基に解説してきました。
転職本やネット記事の中には、小手先のテクニックを駆使して、年収を上げる方法を解説しているものもあるようですが、私は不器用な人間な上、仮に小手先のテクニックを使って年収の高い会社に入れたとしても、いずれその仕事や周りの人についていけなくなり、結果、不幸になってしまうのではないかと思っています。
また、近年、終身雇用が崩壊し、ただ頑張っているだけでは報われない社会になりつつあります。
これに伴い、会社がキャリアを用意、考えてくれる時代も終焉を迎え、ますますキャリアに対する自己責任論が広まりつつあります。
さらにタイミングが悪く、現在は新型コロナウイルスの世界的な蔓延やロシアによるウクライナへの軍事侵攻をきっかけとした世界的な物価高騰が続き、私たちの生活はただ頑張っているだけではじり貧になっていく一方です。
とはいえ、日本では雇用の流動性はまだ低く、「転職=悪」ととらえる人も一定数おり、なかなか転職に踏み切れない人も多くいると思います。
決して転職を推奨しているわけではありませんが、向こう数十年という単位で日本経済、社会はより厳しい状況になっていくことが見込まれる中、今回の私の記事が、少しでも豊かな生活をしたい、よりよいキャリアを描いていきたいと思っている人の参考になれば幸いです。